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バルトーク弦楽四重奏曲 第2番/クァルテット・インテグラ [コンサート(その他)]

 平日午後のコンサート。今までは平日のこういう時間帯には行けなかったが、仕事と通勤が減って融通もつきやすくなったので、今後は平日午後パターン増やしたいものだ。ただ、平日の場合は19時開演が多いが。
 
 この日のプログラムはハイドン→バルトーク→シューベルトというバラエティーに富んだ構成だったが、個人的に焦点はバルトークだった。
 今回聞いたカルテットは1年前に演奏会で聞いたが、その時のバルトーク弦楽四重奏曲第1番が印象深く、ちょうど今回プログラムに第2番が入っていたので、また興味深く聞いてきた。
 冒頭のハイドンの曲を聞き終え、バルトークに移ると、ぐっと気持ちが音に寄ってくのがわかった。最近の個人的な不安定さを抱えた時間も影響したのか、この日は気分的にバルトークの音質が自分には適合していたようだ。

 第1楽章や第3楽章はほの暗い下降感覚の中、感情の起伏が交錯しながら、不安な方向をさまようよう。捉えどころの見えにくさ、重ためのトーンの中、第2楽章はスピード感もあり、聞きやすい楽章だと思う。前のめりに突っ込んでゆくような感じもあり、強くアグレッシブな弦楽器の音がガツンとくる。
 以前までバルトークの音楽に対して、感じるものを定着化できないままでいたのだが、前回聞いた第1番で少し掴みだせた感じがあり、この日の第2番に対しても、従前のような何かわからない感じから一歩踏み込めた気がする。とはいえ、バルトークの音楽はまだまだ捉えきれていないから今後も接点を探しながら継続してゆきたいものだ。

 なお冒頭のハイドンの弦楽四重奏曲だが、ロシア四重奏曲6曲セットの中からの第37番を初めて聞いたのだが、珍しい選曲だったのではないか。調べるとこのセットにはニックネーム付きの曲が3つ(「冗談」「ご機嫌いかが」「鳥」)あるので、これらの曲がある程度有名らしいが、37番は今回のは初めて聞いたが、短調という特徴に緩やかさも交えつつ、バランスの取れた感じの構成に思えた。

2024/1/24 フィリアホール/クァルテット・インテグラ
ハイドン弦楽四重奏曲 ロ短調 Hob.III:37/Op.33-1
バルトーク弦楽四重奏曲 第2番 Sz.67/Op.17 
シューベルト弦楽五重奏曲 ハ長調 D956(共演山崎伸子:チェロ)
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ジョン・アダムズ / 都響  [コンサート(オーケストラ)]

 基本的にクラシック音楽は自分が生まれる以前に作られた曲を聞くことがメインなので、最近の曲や新作を聞く機会というのは極めて少ない。たまに定期演奏会などのプログラム中に、委嘱を受けた作品などの新作が入ってことが数年に一回度くらいあり、世界初や日本初演などという形で聞いたケースも過去にあった。とはいえ、予備知識もなく、なかなか聞くのは難しい曲が多かった印象である。印象に残ってる例外的な曲といえば、例えば数年前に聞いたショスタコーヴィチの交響曲第15番か。この作曲年度をみると1971年となっており、自分が現存してるときに作曲されたのかと思いつつ聞いていたことがあった。

 こうした新作や初演の場合、名前も知らなかった作曲家の作品が多かったが、今回はちょっと違う。なんとジョン・アダムズの作品で、しかも本人自らの指揮で聞けるということ。演奏曲は近年の作品を含み冒頭に演奏された曲は2019年に作曲された曲は「日本初演」ということであった。
 そのあと2011年に作曲された「アブソリュート・ジェスト」という曲はオーケストラと弦楽四重奏という、これまでに未体験の編成。フロントにスタンディング状態で弦楽四重奏で立ち、オーケストラとの音量バランスがどうかと当初思ったが、結構弦楽奏者の音は前にでたりして十分聞きとれた。この曲はベートーヴェンの作品の断片が引用されてたりし、弦楽四重奏曲第16番のフレーズとか出てきたりしたので、なかなか面白かったが、動的な動きに対し、身体が自然と追従できるような状態で音楽を聞けていた気がする。

 今回のコンサートのパンフレット解説だが、ここでは本人の演奏曲の説明が記載されていた。どういう経緯で作ったかとか、背景部分、また改定を施した箇所、考慮した部分など、作曲した本人が直接解説しており、こういう生の説明は、たいへん参考になった。
 後半の「ハルモニーレーレ(1984-85作曲)」の解説にはシェーンベルクとの関係性の説明が興味深い話で、ああそうなんだ、と理解が深まった。この曲は5年前に初めて聞いてたいへん印象に残った曲だったが、律動的な冒頭とラスト以外の中間部は前回より聞けたと思う。本人の説明読んでいたことも頭にあったが、中間部分の途中にマーラー的な感じがあった気がする。ミニマル音楽部分だけでなく、古典的な作品のオマージュも含んだ作品として聞くことで、前回以上の手ごたえがあった。

 自分自身と同時代に生まれた曲をこうして聞くというのは、どこかで時代背景や現代感覚がバックグラウンドで共有できるので、曲との対話的な感じもできたのだろうか。
 通常のコンサートではどこか進行や構成を頭で理解しつつ聞いてることもあるが、この日のコンサートは身体的な反応が前に出てきて、ミニマル的な反復も含めながら、音楽の律動的な動きに自分をシンクロさせながら聞いていた、そんな時間だった。現代音楽とかの言葉に気難しそうなイメージもあるが、この日の音楽体験については全然難しさなどなく、考えることなく、身体でパルス的な動きも含め受け止めながら聞いていたのだと思う。

指揮:ジョン・アダムズ/ 東京都交響楽団
弦楽四重奏/エスメ弦楽四重奏団

2024/1/19 東京文化会館
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デイブ・ブルーベックのノクターン [CD]

 デイブ・ブルーベックの音楽を最初に耳にしたのは確か10代終わりのころだったか、結構早かった記憶がある。とにかく不思議なリズムが印象的なあの「テイク・ファイヴ」を聞いたのだが、その後は特に関心継続するということもなく過ぎていった。

 それから20年近く経ち、クラシック音楽を聞き始めた頃NAXOSレーベル作品をよく購入していた時期があったが、そこで再会することとなった。ジャズ系ピアニストと思いこんでいたので、クラシック的な作品もあるのかとそこで初めて知ったが、調べてみると、幼少期に母親からクラシック教育受けたとか、大学時代Darius Milhaudに音楽を学んだとかもあったようだ。

 改めてディスコグラフィ見てみたが、1940年後半から始まり、その後ポール・デスモンドとの長い共演もあったりしたが、70年以降もコンスタントにアルバムが発表されており、亡くなった2012年まで相当な作品がリースされていた。あまりに多いため、時代の変遷とか検証できないが、とにかくクラシック的な作品も晩年残しており、何枚か聞いてみたが、そのうちの一枚が今でも好みのアルバムである。

 2006年に発表された「ノクターン」と題されたアルバムは、ブルーベックの曲をJohn Salmonという人が演奏したもの。曲は短めのものが大半で、全体の演奏時間55分で26曲、平均2分程度である。

 中には50~60年代のジャズ時代に作曲された曲もあるようで、認識できたのは数曲。そのうち「Strange Meadowlark」という曲は、「タイムアウト」(1959年)にカルテット演奏で収録されていた作品だが、この「ノクターン」収録はピアノソロによるもので、より旋律がはっきりと見えてくる。聞き終えたあとにも繰り返しこの曲のメロディーは残った。
 また、タイトルを眺めてるといくつかのことが気が付くのだが、抽象的な単語が少なく、具体的な人名と土地、景色や自然の言葉などが多く出てくる。

・例えば、人名が付されてる曲・・・(Softly, William, Softly、Home Without Iola、A Girl Named Oli、Joshua Redman、Audrey、 Mr. Fats、 I See, Satie)
・土地の名前や自然の言葉も結構ある・・・(Blue Lake Tahoe、Looking at a Rainbow、Strange Meadowlark、Quiet as the Moon、Desert and the Parched Land、Memories of a Viennese Park、A Misty Morning)

 このことについてはCDに本人の解説文書があり、それを読むと、曲は、個人的な生活、経験から生まれたもの、ポストカードの絵のようでもある、というようなことが書かれており、そのあたりが直接反映したのだろう。例えば「Looking at a Rainbow」という曲は初めての日本旅行の時、土砂降りの雨の後に見た虹から作った曲らしい。「Mr. Fats」という曲の説明には、人生で初めて買ったレコードが、ファッツ・ウォーラーのピアノもので、在学中にナイトクラブ演奏した時、休憩中に弾いたことなどが作曲背景として添えられている。

 日常におけるエピソードから曲が生まれたことで、大仰ではなく、親密さを感じられる作品が多い。そうした曲を聞いてると、断片的な映像や、写真のような視覚イメージが映し出されたり、素描とかスケッチも浮かんでくる。
 ふとした時、聞きたくなるピアノの小品集で、また時折何度か聞きたくなるのだろう。

CD:Dave Brubeck: Nocturnes / John Salmon (p) 「ブルーベック:夜想曲集」(NAXOS 2006)
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「アメイジング・バド・パウエルVOL1」 [ジャズ関係]

 昨年からバド・パウエルのことが気になりだした。アルバムを何枚か聞いているが、その中で以前聞いたが、うまく理解できなかった作品に再度向き合ってみた。
 そのアルバムは「アメイジング・バド・パウエルVOL1」。

 20代の頃、有名な「クレオパトラの夢」を聞いてから、そのあとにこのアルバムを購入したのだが、この冒頭の3曲が異質な並び方だった。
1曲目:ウン・ポコ・ローコ(テイク1)
2曲目:ウン・ポコ・ローコ(テイク2)
3曲目:ウン・ポコ・ローコ

 最近は、リマスターや別テイクが入ることは多く、気にならないが、30年以上前はあまり類を見ないレアケースだった。しかも冒頭から同じタイトル曲が3曲連続である。なぜ同じ曲が、冒頭から3つも入ってるんだろう? この別テイクの違いが見いだせず、そこが障壁となってしまった。何度かトライしたものの、3曲連続を飽きずに聞くことは困難で、いつの間にか手放してしまった。実際のところ、当時はパウエルの凄みを理解できてなかったのだと今更ながら思う。

 そして先日中古で買いなおし、何十年かぶりに聞いてみた。
 調べみると「アメイジング・バド・パウエルVOL1」はたびたび発売され、曲の並びが異なったもの、構成違いなど数種類の盤が出回ってるようだ。自分が最初に聞いたレコード盤は、調べてみたら12曲入りのものだったが、今回買ったのは、輸入盤のRVG Edition(2001年)で、20曲も入ってる。

 とりあえずウン・ポコ・ローコの3テイクは収録されてるのを確認したが、冒頭3連発ではなく、曲順番も異なり、ばらけている。
 これは一体どうなってるのか?
 この構成順が気になりだしたので、調べてみた(調査は細かくなったので、詳細は以下※参照)。ともかくこうしてRVG Edition(2001年)の収録曲順は、録音日を知らべてると分かりやすく、この点についてはスッキリした。

 しかしながら、そうした配列の問題はわかったが、「ウン・ポコ・ローコ」の3曲はやはり続けて聞きたい。そうしなければ当時の疑問は解消されないままだ。

 CDで3曲を連続し、比較しながら聞いてみると、パウエルの打鍵の強さや独特のリズム感には引き込まれる。基本構造は、テーマが演奏→中間部のアドリブ→その後短いドラムソロ→最後にテーマに戻るとなるが、聞き所は中間部のあたりと思う。
 テーマの部分に差異はあまりなさそうだが、テイク1だけが短く(3:46)、ドラムソロとテーマに戻る部分が無いまま終了してゆき、やや唐突な終わり方で煮え切らいない気がする。本テイク(4:42)とテイク2(4:28)はほぼ同じ長さであるが、テイク2のドラムソロの前の部分が間延びしてる感じがある。よって、本テイクが一番よいと感じた。

 3曲連続で聞いてみたが、全然飽きなかった。
 なるほど、別テイクを分けないで、あてて連続配列したことは、強烈なインパクトのある並び方だなと思った。また、この「ウン・ポコ・ローコ」が録音された1951/5/1のピアノトリオによるセッションは全部で9曲あるが、この時の録音ものが、非常に気にいった。

 あらためて、凄みのあるピアノであると、認識させられた。

CD : The Amazing Bud Powell, Volume One / Bud Powell (Blue Note 2001 RVG Edition)


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※ 以下参考まで
調べてみると、この一連のセッションで録音されたのは3パターン、合計で28曲あるようだ。
①1949/8/9・・・11曲 クインテットによる編成
②1951/5/1・・・9曲  ピアノトリオ編成
③1953/8/14・・・8曲

 今回購入したRVG Edition(2001年)では、①全曲11曲②全曲9曲③なし、の合計20曲となってる。つまり①②がコンプリートに収録され、しかも曲順を①全曲→②全曲としてるので、この形式で分類整理されたことで時系列的には分かりやすくなった。
 「ウン・ポコ・ローコ」の3曲はすべて②のセッションで、本テイクをまず最初において、別テイクを後半に収録した形になっている。つまり、本テイクが最初(12曲目)に置かれ、その後2つの別テイクを後ろに置いた(17曲、18曲目)ため、3曲連続構成されいないということのようで、これは理に適ってると思われた。

 
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2024年の始めに [その他]

 1年が終わりまた新たな1年が始まった。
 音楽以外で昨年を振り返えると、とりわけ年齢的な問題が表面化、今まで経験したことがなかったタイプの不具合や違和感に直面した。それまで緩やかに出現していた劣化諸症状(抜け毛、かゆみ、ドライアイ、冷え性など)が急上昇し、レベルが急激に数段階上がったという感じ。散歩では1万歩超えることもよくあるが、日常生活で、つまずいたり、ぶつけたり、バランスを失ったり、モノを落とすことが頻発。
 そこに記憶力の低下も加わり、以前のようにゆかない感覚が増えた。さすがに危機感も出てきたので、筋力の維持を半月前から組み込み始めた。

 さらに昨年は、歯周病と虫歯の治療で2か月間以上通院したこと、しもやけの悪化、コロナに感染してしまったこと、などがあった。また生活面でも予想外の出来事やトラブル対応に悩むことが何度かあり、気持ちの落ち着かない日々が続いた。完璧主義の気質がネックになり、些細な変化に対応できない考え方が出てしまい、今後は考え方に緩さや柔軟性を持たせたいなと思ってる。もっとも長年の癖もあり簡単にはゆかないが。

 そんな中、昨年はコンサート関係の回数は年間40回を記録。ここ3年間は年間20~30回くらいのペースだったから、久しぶりに増えた実感はあった。特に今年後半(9~12月)は月4回ペースで、このくらいのペース復活は10年ぶりのことだった。
 回数が増えたものの、コンサートへの向き合い方は変化しつつあり、以前よりも少しあっさりとした向き合い方になってきたかもしれない。コンサートの後にブログ書くこともあるが、その日感じたことを忘れないよう書き留めておこう、と備忘録的にもなってきたか。

 一方、ジャズや昔聞いた懐かしい音楽とかを聞き直すことが増えてきた。今までなんとなく耳にしてきた音楽を、もう一度原点に立ち返り向き合ってみると、思わぬ発見があり、そこから深堀したり、関連性を探し、紐づけたりして楽しんでいる。

 こうした文書を書くのはなかなか楽しいものだ。昨年はブログの回数が年間50回程度と今までより増えたが、今年はもう少し増やそうと思う。音楽を聞くことを通して、感じるもの、再発見したり、面白さを見つけるプロセスがあり、それらを言葉に落とし込むことの作業を以前より楽しめてきた気もする。
 そんな感じで今年は、重くならないよう全体的に少しライトな感じでいけたらと考えてる。

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