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1968年のビル・エヴァンス ライブ録音 [ジャズ関係]

 水辺に佇む、お城のジャケットで有名な「モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス」は、これまで繰返し聞き続けてきたアルバムである。
 ビル・エヴァンスのトリオ演奏はいろいろあって、1961年のポール・モチアン、スコット・ラファロとのトリオ、晩年の鬼気迫る凄みのある演奏も捨てがたいが、よく聞くのはこの1968年のモントレーのライブ盤で、安定して聞ける。

 エディ・ゴメスとジャック・デジョネットというこのトリオ演奏はなかなかよいので、このモントレーのライブ盤以外にも聞いてみたいと思ってたのだが、数年前にResonanceというレーベルから、1968年の未発表録音が発表されたので聞いてみた。「Another Time: The Hilversum Concert」というオランダでの未発表ライブ盤で、「モントルー・ジャズ・フェス」の1週間後に録音されたということだが、未発表とは思えない非常に充実した内容だった。

(A)・・・「モントルー・ジャズ・フェスティヴァル/1968年6月15日スイス」
(B)・・・「Another Time/1968年6月22日オランダ」

 (B)は(A)の1週間後のライブということで似通った内容かと思ったが、結構違いが感じられた。それはホールの差異、観客やその日の雰囲気などもあったのだろう。また収録曲が随分違い、重複してるのは2曲だけ(「Embraceable You」と「Nardis」)であった。ということで、この重複した2曲を比較してみた。

 概ねどちらもよいのだが、微細なところの差異もあった。「Nardis」はおよそ8分という最も長い時間の白熱した演奏となってるいるが、この曲は(A)の方に軍配を上げてもよいか。大きな差異は中間部でのデジョネットのドラムソロで、ここでのソロは(A)の方がダイナミックでアクセントも強く、大きな熱量が感じられた。
 一方「Embraceable You」は演奏時間が異なり、(A)は約6分に対し、(B)では約5分となってる。ここでの演奏はE.ゴメスのベースが大きくフューチャーされ、1分の時間差は中間部のソロの長さからくるが、(B)の音の方がより鮮明でクリアに聞こえる。
 全体的に(B)の音のクリアさは大きな魅力であり、内容の引き締まった、きりっとした感じもあり、充実した内容であった。

 気になってこのトリオのことを調べてみると、活動期間はおよそ6か月間、今まで公式に聞けたのがモントレーライブ盤だけだったようである。そこにResonanceというレーベルから、発掘されたのが今回のオランダでのライブ盤だが、さらに6/20にスタジオ録音(Some Other Time)やロンドンのロニースコッツでのライブ(Live At Ronnie Scott's)というのも近年になってから発掘されたようだ。
 また時間みてこのあたりを深堀してみたいものだ。


CD:「Another Time: The Hilversum Concert」 / BILL EVANS (1968) (Resonance 2017)
「Bill Evans at the Montreux Jazz Festival」 / BILL EVANS (1968) Verve
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