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ヴァン・モリソンのライブ盤 [昔聞いたアルバム]

 好きなミュージシャンという意識はなかったが、改めて振り返ってみると結構聞いたのが、ヴァン・モリソンかもしれない。
 60年代後半から70年前半の名盤といわれる「アストラル・ウィークス」、 「ムーンダンス」、「テュペロ・ハニー」あたりはもちろんだが、とりわけよく聞いたのは1987年以降の作品だった。きっかけとなったのは1987年発表の「ポエティック・チャンピオンズ・コンポーズ」だった。インスト曲のサックスがとりわけ印象に残り、その後「アヴァロン・サンセット」 (1989年)、「エンライトンメント」 (1990年)、「トゥー・ロング・イン・イグザイル」 (1993年) の3枚はよく聞いてた記憶がある。70年代の作品には躍動感があるが、80年代後半以降の作品には深みのある声が印象的だった。聞いてると、そのがっしりとした声に包み込まれる時間があり、当時何度か聞いていた。

 そんな中で、やはりライブ盤はどれも聞きごたえがあるが、今回は「ナイト・イン・サンフランシスコ - A Night in San Francisco」 (1994年)を書いてみたい。
 70年代の屈指のライブアルバムであり、彼の音楽の魅力に触れる「魂の道のり - It's Too Late to Stop Now」 (1974年)は間違いなく彼の代表ライブアルバムで、ロックやR&Bなど様々なエッセンスがちりばめられ、最後の方は尋常じゃないテンション盛り上がる。まるでゴスペルのようにシャウトしまくり、圧倒されたライブ盤であるが、その20年後に発表されたライブ盤には、また違った魅力が詰まっている。
 若さからくるエネルギーや勢いは若干後退してはいるが、それに代わってナチュラルで、懐の深い音楽がゆったりと流れる川のように感じられる。バンドメンバーそれぞれが個々の特色を寄せ合い、心地よい、時に跳ねるように、時に緩やに、曲によって表情はいかようにも変化しながら、グルーブのある音が常に感じられる。

 そしてこのアルバムには前作「トゥー・ロング・イン・イグザイル」でのジョン・リー・フッカーとの共演があったことも関係してたのだろう、ジュニア・ウェルズ、ジョン・リー・フッカー、ジミー・ウィザースプーンらの大御所的ブルースミュージシャンのゲスト参加があり、これがまた音楽の原点に触れるような深みを添えて、誠に味わい深い。
 
 CD2枚組で計22曲、150分を超える長丁場。選曲は当時の近年の曲中心に、キャリア代表作やブルース曲なども万遍なくちりばめられる。しかも自作以外の古い曲をメドレーに織り交ぜるので、22曲と書いたが実際はもっと多い。例えば後半の14分を超える「ロンリー・アヴェニュー/4クロック・イン・ザ・モーニング」の演奏には多くの曲が引用※され、こうした各種の引用を含めると合計40曲近く登場してるようだ。自分でも知らないR&Bやブルース曲も多く、ある種音楽ヒストリーを回顧しながら、音楽に対するリスペクトや愛情、懐の深さを感じさせる。

 このCD数年ごと、思い出したように何度か聞いてきたが、心地よさが横たわり、聞くたびに発見もある。そして退屈とは無縁の音楽の豊かさに包まれる、そんな時間が毎回ある。

CD:「ナイト・イン・サンフランシスコ」(A Night in San Francisco)/Van Morrison 1994

※ 「ロンリー・アヴェニュー/4クロック・イン・ザ・モーニング」の演奏に引用登場してくる曲

・ロンリー・アヴェニュー - (Doc Pomus)
・ビー・バップ・ア・ルーラ - (Gene Vincent, Bill Davis)
・4オクロック・イン・ザ・モーニング - (V. Morrison)
・ファミリー・アフェアー - (S. Stewart)
・ユー・ギヴ・ミー・ナッシング・バット・ザ・ブルース - (V. Morrison)
・ホエン・ウィル・アイ・ビカム・ア・マン - (Erica Ehm, Tim Thorney)
・スーナー・オア・レイター - (Vernon, Ross, Shaw)
・ユー・ギヴ・ミー・ナッシング・バット・ザ・ブルース - (V. Morrison)
・ダウン・ザ・ライン - (Roy Orbison)
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ボビー・コールドウェルのこと [昔聞いたアルバム]

 今年3月、ボビー・コールドウェルが亡くなったと知った。活動や動向を気にしてたり、聞き続けてきた訳ではなかったが、特定の期間、10~20代前半期に限定すれば、ずいぶんと繰り返し聞いたミュージシャンだった。
 しかし初期作品以降は接する部分が少なく、今回改めてキャリア全体、ディスコグラフィ、活動歴など調べながら、音楽も久しぶりに聞くと、あの頃の感覚が引き上げられるかのように蘇ってきた。
 
 1978年デビューアルバムからのシングル「風のシルエット」は、これまでも何回も耳にしてきたはずなのに、未だに不思議な感覚をもたらしてくれる。サラッとしているのに、どこかウエットな湿度も含まれてる。流れるような心地よさに、ミステリアスさがブレンドされ、しかし音楽の残像はしっかりの足跡を刻んでいる。この風のように流れる音楽に漂う独特の雰囲気は、今でも魅力的であり続けていると思う。
(余談だが、このシングル「風のシルエット」、とアルバムタイトルは「What You Won't Do for Love」という同じタイトルだが、シングルの邦題は「風のシルエット」、アルバムは「イヴニング・スキャンダル」と別の邦題が付けられており、当時のの時代性をうかがわせる。)

 彼の初期3作は全部持っていて、どれもお気に入りだった。
「イヴニング・スキャンダル」 (1978年)
「ロマンティック・キャット」 (1980年)
「シーサイド・センチメンタル」 (1982年) 

 他の気に入ったバンドとかのアルバムを何枚か買ってゆくと、この曲いいが、これはちょっと・・・というよう好みの濃淡がでてくることがよくあったが、彼の3枚のアルバムについては、3枚とも好きだった。記憶の中でこの3枚はバラバラにあるのではなく、3枚で全体印象のトーンを形成してるような感じである。だからなのか、今回「風のシルエット」以外の好きだった曲ピックアップしようと試みたが、アルバム半分以上の曲が上がり、合計で10曲以上になってしまった。個別の曲で甲乙つけにくく、アルバムから曲単位で抜くことができなく、全体として印象付けられてる、そんな感じで残っているようだ。

 さて、初期作品以降のあまり聞いたことのない作品を今回たのか、素通りしてきたものが大半だったが、今回1991年に発表された「ソリッド・グラウンド」を手にとってみた。曲もそれぞれメロディーラインがあり、予想以上に好印象が残った。
 
そんなことで、今月はボビー・コールドウェルの音楽を振り返ってみた。懐かしさと、小さな発見もあり、自分にとって独特の存在感の人だった気がする。
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「トンネル・オブ・ラヴ」/ブルース・スプリングスティーン [昔聞いたアルバム]

 前作のメガヒットアルバムとなった「ボーン・イン・ザ・U.S.A」からおよそ3年振りとなる1987年に発表されたブルース・スプリングスティーンの新作だった。それまではほとんどレコード購入だったが、このアルバムは当時出始めていたCDで購入した。
 前作のEストリート・バンドとのパワフルなロックサウンドから大きく変化があり、派手なサウンドは影をひそめ、社会的な題材ではなく個人的な関係性をうたった曲が多くなった。しっとりとした曲もあり、地味な印象、歌詞もシンプルで、長い曲もなく、聞きやすいかなと。そのあたりの変化は、アルバムジャケットにも表れていて、それまでの普通のシャツや革ジャンから、車をバックにスーツを着ている。ちょっとこれまでと違うぞという感じに戸惑いもあったが、「ブリリアント・ディスガイズ」という曲は今でも好きな曲ののひとつである。ただ全体的に何か物足りなさも感じてた。

 1980年「ザ・リバー」からリアルタイムで追っかけていたが、それ以降は後追いになり、その後の昨作品は数枚程度聞いたくらいである。それでも、聞いた範囲内ではあるが、90年以降の作品の質感は割と気にいってる。1992年 「ヒューマン・タッチ」&「ラッキー・タウン」、2002年 「ザ・ライジング」、2007年 「マジック」はいぜれも感触がよかった。今回、久しぶりに「トンネル・オブ・ラヴ」を聞いたのだが、このアルバムがキャリアの分岐点だったように思える。

 今回およそ30年振りに聞いたのだが、当時よく聞いてたせいもあり、懐かしいなという感想がまずあった。ただ当時20代だった時期は、曲はまあまあだが、曲の題材などは自分に直接的にかみ合ってた部分は少なく、表面的な接し方だったのかもしれない。そのあたりが、今回聞き直すと、すっと入ってくる部分が結構あって、なんというか自然と音楽に寄せられていけた気がした。年齢を重ねてこともあってか、受け取る側の自分も変化しているから、そのあたりが関係したのだろ。
 今回中古で入手したCDは当時の国内盤である。当時のライナーノーツはどんな感じだったかと思い国内盤を探し入手したのだが、解説や感想的なものも含め、合計5名もの音楽ライターが文書を書いている。やはり「ボーン・イン・ザ・U.S.A」からの新作ということで、当時の発売直前の力の入れ方は大きかったようだ。このあたりも当時の時代の空気感があって、しばし80年代後半の空気に包まれながら、時間を過ごしていたのだった。

CD:「Tunnel of Love」1987年 Bruce Springsteen
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「ストリート・ファイティング・イヤーズ」/シンプル・マインズ [昔聞いたアルバム]

 以前引越ししたときに、書籍・CD関係を大量に減らしたのだが、それから数年経過してみると、やや増加傾向になりつつある。一度減らしてから基本的には、増えた分と「同程度」減らすというルールで、全体的に増えないようにしてきたつもりだった。しかし、増えた分を「同程度」減らしてはいたが、どうも微増を重ねており、例えばCD10枚買ったら、「同程度」は買取等で減らしたものの、実際の減らした枚数は7枚くらいで、こうしたことが積み重なって微増しているようだ。

 こうした中最近といえば、以前入手したのに手放したアルバムの買い直しが何度かある。単純に考えると、あの時手放さずに保管しておけば、という思いは当然あって、効率の悪さを痛感するのだが、一方で数十年ぶりに聞き直したくなって、ある種の再会とも考えると、それなりの意味もあろうか。

 先日も中古CDを探しながら、何枚か買い直したのだが、その中の一枚がスコットランド出身のシンプル・マインズというバンドで、彼らの1989年に8枚目としてリリースした「ストリート・ファイティング・イヤーズ」という作品を聞き直してみた。

 彼らの前作にあたる1985年発表した「Once Upon a Time」はよく聞いた。強くがっちりしたサウンドが印象的で、その流れで次のアルバムも買った。前作に比べると、地味な部分もあったが、当時繰り返し聞いていた気がする。しかし、その後は全く聞くこともなければ、思い出すこともないまま長い年月が過ぎていった。そんな中最近、過去に聞いた音楽を振り返る時間を増やしてる中、ネットなどの検索過程でシンプル・マインズの名前を見かけ、一気に思いだした。まるで記憶の弁が開通し、一気に流れてきた感じで、どうにも聞きたくなった。

 おそらく30年振りくらいだろう。聞き始めるとそのサウンドの感触が記憶を蘇らせる。メッセージ性の強い曲もあり、ネルソン・マンデラをタイトルとした曲、P.ガブリエルのカバー曲である「BIKO」も含まれている。真摯な感じ。重苦しくはないが、ゆるみやくつろいだ感じは少なく、しかし広がりやスケール感を感じさせる。冷たい空気、晴れ間の見えない曇り空の元、風が強く吹き抜けてゆく。埋め尽くされてない、隙間のある音の流れに自分の心象風景を重ねることができるような感じがあって、それはあの頃と変わらない感覚だった。
 当時意識してはいなかったが、すごくサウンド風景が自分にフィットしていたように思えてたのだが、今回聞き直してみると、ヴァンモリソン、ウォーターボーイズらとともに、その後アイリッシュ音楽へと向かうきっかけとなった一枚だったのかもしれない。

 たいていは夕方に酒を飲みながら聞く音楽で、くつろいゆくのだが、このアルバムを聞き直していると、そういう時間にならず、じっくりと向き合い、音楽がじわじわと心に入ってくるそんな時間だった。だからなのか、全然酔った感じがなかった。でも60分近い時間でいろいろな発見や再認識もあって、これは本当に聞き直して良かった。34年前の当時の感触もよかったが、今現在聞き直しても、自分が触発されるものがあり、手ごたえがある、そんなアルバムとの再会は、たいへん有意義な時間だった気がする。

CD:「Street Fighting Years (1989年)」 Simple Minds
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ビリー・ジョエルのベスト盤 [昔聞いたアルバム]

 最近80年代にヒットした曲のベスト盤を中古で良く買っているが、先日はビリー・ジョエル買ってみた。この人のベスト盤の種類は多く、収録作品や構成など比較してみたが、結局は「Greatest Hits Volume I &VolumeⅡ」という最初期に出た2枚組のものにした。これは1985年までの段階でのベスト盤であるため、86年以降の作品が入っておらず、そうした意味では網羅性が不完全ではあるが、この部分の補完は「Greatest Hits Volume Ⅲ」が出てるので、初期の地味な作品も収録しているこの2枚組を入手した。

 このベスト盤、20代の頃知人から借り、カセットに録音してよく聞いていた。聞く前からシングルヒット曲はほぼ知ってたので、カセットテープに録音する前、ひとひねりし、25曲の曲順を自分の好みに並べ替えて録音をしたのだった。もう曲順は覚えてないが、冒頭の一曲目に選んだ曲だけは覚えていて、当時一番好きだった「ストレンジャー」収録の「ムーヴィン・アウト」 を選んだ。

 ビリー・ジョエルを聞いていた時期は10代後半から20代前半までの時期だったが、リアルタイムで聞いた3枚のアルバム(「ソングズ・イン・ジ・アティック(1981)」、「ナイロン・カーテン(1982)」、「イノセント・マン(1983)」)はやはり思い入れや懐かしさが強い。

 今回こうして聞き直してみたが、やはり当時強い印象があった「ナイロン・カーテン」に収録されている3曲(「プレッシャー」、「アレンタウン」、「グッドナイト・サイゴン」)は、ビリー・ジョエルのシリアスな側面が前面に出ており、強いメッセージ性とともに、重い感じや陰影もありながら、非常に強く印象に残る曲だと改めて思った。
 
 ほぼ発表年代順に並べられたこのベスト盤、メロディやっぱりいいな、などと思いながら焼酎片手に聞いていたのだが、気が付くと、途中から聞く曲をスキップしたり、戻したりしながら、順番を変えていた。どうも昔にやった癖が抜けないのか、このベストアルバムは並べ替えて自分の好みの順番にするのが好みのようである。

CD:ビリー・ザ・ベスト/ビリー・ジョエル Greatest Hits Volume I & Volume II
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「Joe Jackson Live 1980-86 」 / ジョー・ジャクソン [昔聞いたアルバム]

 昔聞いたミュージシャンやバンドが突然復活などし新作発表することがあるが、ジョー・ジャクソンが近年(2019年)に新作を発表していたことにはびっくりした。調べてみると、2000年以降も3~5年間隔とはいえ、作品は発表してたようだ。

 ある時そんなニュースを読んだのだが、そうするといつの間にか、ジョー・ジャクソンのことをいろいろ思い出していた。振り返ってカウントしてみると、80年代に発表されたアルバムのうち6枚も購入していたことになる。それらのアルバムの中、最も思い入れがあるのは「Joe Jackson Live 1980-86 」だろうか。

 ジョー・ジャクソンのレコードを最初に聞いたのは確か1982年発表の「ナイト・アンド・デイ」だったと思う。そしてその後「ボディ・アンド・ソウル」、「ビッグ・ワールド」とリアルタイムで聞いてゆきながら興味を持って、デビューアルバム79年の「ルック・シャープ!」なども後追いで聞いていった。アルバムごとに作風が違って、いろんなジャンルの音楽に手を出してゆくので、つかみどころがないというのか、全体の印象が見えにくかったが、ある程度聞いたところで、集大成的なライブ盤を聞いたのは自分にとってタイムリーだったと思う。

 この2枚組のライブ盤レコードは本当によく聞いた。1980〜86年までの4つの異なるツアーからの曲を、しかもすべて別のバンド編成によるライブを収録。初期の勢いのあるライブも、編成を変えてアレンジした演奏もどれもよかった。
 手元にこのアルバムはないので記憶の中でしか思い出せないが、ネットで収録曲リスト見ながら思い返してみると、初期の1980年のツアーはエッジの立ったサウンド、1982~83年のツアーはアルバム「ナイト・アンド・デイ」からの曲で、都市のネオンの隙間を泳ぐように流れてゆく音楽。そして2枚目は84年と86年のライブからで、バンド編成も増えた曲だった印象だある。

 そうした中、最も記憶に残ってるのは、同じ曲を異なるバージョンで3パータン収録した演奏。1979年のデビューアルバム収録の「Is She Really Going Out With Him?」を当時のライブ演奏で、アコースティックで、そしてアカペラバージョンでと、全く異なる3タイプの演奏が収録。一つの曲からこんなに違ったニュアンスが発展展開できるんだ、とアイデアの豊かさに魅了され、何度も聞いた記憶が残っている。

 そんなこと振り返りつつ、懐かしさのあまり先日中古でジョー・ジャクソンのベストアルバム購入してしまった。懐かしいなあ、とおもいつつ、80年代のある一定期間、自分に寄り添っていた音楽があったこと、そして30年以上の時間を隔てて聞くとまた発見もあったりするのだった。
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「ハート・ブレイカー」ディオンヌ・ワーウィック [昔聞いたアルバム]

 先日たまたまディオンヌ・ワーウィック の1982年のヒット曲「ハート・ブレイカー」を耳にした。リアルタイムで当時何度か聞いた曲で、ああ懐かしいな、と思ったのだが、聞き終わった後、妙にそのメロディーや声がまとわりつくように残った。翌日午後散歩に出かけ、川沿いを歩いていると、またこのメロディーが浮かんできて、当時特に気に入った曲でもなかったのに、なんでまたこの曲が繰り返し思い浮かんでくるのだろうと思った。

 後日改めてこの曲を聞いてみると、サウンド、楽曲のすばらしさに気が付かされた。ポップソングとして惹きつけるメロディー、曲の展開、そしてオーケストレーションの味付けも非常に効果的で、よくできた曲に仕上がってると思う。そして、個人的にこの曲の最大の魅力になってたのが、サビの部分でディオンヌ・ワーウィックの声と、ビージーズのコーラスが重なるところ。ディオンヌ・ワーウィックの声は独特の中低音の質感があり、そこにあの唯一無二のビージーズのコーラスが重なることで、不思議な魅力が生まれてきたのだろう。独特の異なる2つの声の、何とも言えない組み合わせ。

 ビージーズのコーラス部分はこの部分に限定されてるにも関わらず、曲の印象を形成する重要なパートとなってるが、。そうした例はいくつかありそうだ。すぐに思い浮かんだのは、エディーマネーの「Take me home tonight」。1986年のヒット曲だが、ここでのバックコーラスで入るロニー・スペクターの声。曲のサビの部分で「Be My Little Baby」と歌うこの部分が、ずっと残る。

 記憶に残るデュエット曲なども深掘りしてくいと、またいろいろ思い出しそうだが、とりあえず今回ここまで。



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ザ・バーズの4枚組ボックスセット [昔聞いたアルバム]

 1990年に入ると、ロック関連のCDボックスセットが発売され始めてきた。よくあったのが、ベスト盤的選曲に、未発表を追加、CD2~4枚程度、縦長紙ケース(ロングボックス)に収めるというもの。やたら外箱のサイズが大きく、ボリューム感やゴージャス感があったのだが、部屋のスペースを占拠するというデメリットもあった。

 初めて買ったボックスセットはザ・バーズの4枚組のものだった。
「The Byrds Ultimate 4CD boxed set」とタイトルされ、後に国内盤でも発売されたが、1991年頃輸入盤で買った。それまでザ・バーズに特に関心があったわけでもなく、しかも値段が高い。購入に迷ったが、しかしボリューム感やボックスの重量感、また聞いたことのない曲多さに期待を込めて購入。結果的に振り返れば、その後購入した数枚のボックスセットの中で最も聞きこんだものとなった。

 まず目を引いたのは「全90曲」というボリューム感。そして未発表やレア音源がかなり入っているということ。ただし、当時ザ・バーズはデビューアルバムしか聞いたことがなく、ほとんどオリジナルバージョンすら聞いてなかったのでそのレア感は体感できなかったが、音質のクリアさと全体のクオリティーの高さに驚いた。

 英文ブックレットは情報が多く、彼らの歴史の勉強と思い、辞書引きながら読んだものだった。また通常のCDのようにCD1、CD2・・・という番号付けではなく、各CDにコンセプト的外観がまとめられたタイトルが付与され(We Have ignition、Cruising Altitude、Full Throttle、Final Approach)、1965年~1971年頃までの活動期間に生じた変化、曲の多様さ、そして全体構成もしっかりしたものだった。

 このボックスセットを契機に、数年後には紙ジャケットで発売されたオリジナルアルバムもほとんど買って、バンドの初期からラストまで時系列に聞いたりしたものだった。

 そんな中、繰り返されるメンバー交代にも関わらず、バンドを持続させ続けた原動力は何だったのだろう、と考えることがよくあった。というのも、ある時期、仕事で人の入替わりが激しく、組織とか部署をどう維持させてゆくのか悩んでた時期が重なり、そんなとき、度重なるメンバーチェンジを繰り返すバンド(特に、イエス)に興味が傾いていた。バーズは、外観の音がサイケデリック調から一転しカントリーへと変貌するなど、メンバーチェンジによる音の変化や落差がとにかく大きかった。にも関わらず、ロジャー・マッギンのギターは常に中核にあって、マッギンのギターの音色がバーズという組織体の中心と位置し続けたことが、継続要因だったのかもしれない、などと思ったものだ。

 あの頃購入したいくつかのロングボックスはもう手元に残ってないが、外箱の大きい縦長の存在、妙に懐かしくなり、書いてみたが、久しぶりにバーズの音楽聞きたくなってきた。

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『ダンシング・ウィズ・ストレンジャー』クリス・レア [昔聞いたアルバム]

 80年代後半あたりになると、発売されたアルバムは、レコードから徐々にCDへと移行し始めてきた。新譜買うときも、レコードとCDの両方発売された期間があって、個人的にCDを買い始めたのは1987年だったと思う。初めて買ったCDアルバムが何だったか、記憶がはっきりせず思い出せないが、多分ブルース・スプリングスティーンの「トンネル・オブ・ラブ」か、スティングの「ナッシング・ライク・ザ・サン」、もしくはクリス・レアの新作だったような気がする。

 とにかくクリス・レアの新作「ダンシング・ウィズ・ストレンジャー」は自分のCD購入履歴の初期に買ったのは間違いなく、確か3200円だった。

 クリス・レアを初めて聞いたのはその前の年、1986年に発表された「オン・ザ・ビーチ」のアルバムだった。この作品、カセットに録音してもらい何度か聞いてたので、新作はある程度期待しながらCDで買ったが、どうも前作とは印象が違った。「オン・ザ・ビーチ」はテンポがゆっくりとし、海辺のひっそり感や静けさが出てたが、新作ではニュアンスが違い、テンポやリズムが動的な感じがした。B面冒頭「Let's Dance」はこのアルバムの象徴的な曲で、ほかにもDANCEのタイトルがついた曲「I Can't Dance to That」がある。さらに裏面のジャケットには軽やかな踊りの絵が描かれている。とはいえ、このアルバムでもっとも気に入ったのはA面3曲目の「Windy Town」。乾いた冷たい風が、硬質なトーンで描かれる。独特の渋みのある声にギターの音が寄り添う。

 このあたりでは渋みのある歌声のシンガーソングライターという感じだったのだが、それは一面に過ぎなかったことを知ったのは1989年に発表された「ロード・トゥ・ヘル」のタイトル・トラックを聞いたとき。ここで彼のスライドギターのすごさを痛感、この曲の中間のスライドギターは強烈にインパクトを残した。この曲を聞いた以降、彼のアルバムを何枚か買って聞いてみたが、スライドギターを弾くシンガーソングライターという印象になったのだと思う。

 ともあれ、『ダンシング・ウィズ・ストレンジャー』というCDは思い入れのある一枚である。

Dancing With Strangers (1987)
The Road To Hell (1989)
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「アイ・イン・ザ・スカイ」アラン・パーソンズ・プロジェクト [昔聞いたアルバム]

ラジオで聞いた「アイ・イン・ザ・スカイ」が気にいったので、謎めいたジャケットにもひかれつつ、輸入盤で買ってみた。ちょうどレコードを買い始めた時期で、1982年のことだった。

 このアルバム結構聞いたのだが、特にA面冒頭から2曲目に流れる箇所がすごく好きで、この好感触が聞き続けさせた大きな要因だったろう。
 冒頭のインストルメンタル曲「SIRIUS」から切れ目なくそのまま「Eye in the Sky」へとつながってゆくこの流れは何度聞いてもぞくぞくした。その後しみじみとした静かな曲、「Silence and I」「Old and Wise」なども出てくるが、全体的にいろいろなタイプの曲が組み込まれており、飽きさせない構成である。「Psychobabble」などパンチのある曲があったり、結局最後まで聞いてしまう。

 また、このユニットは特定のボーカリストがおらず、曲によってボーカリストが変わるのだが、不思議と彼らの音楽の全体感をそこなうことがない。むしろ、曲によってスタイルの異なるボーカリストに変えることで、適材適所というのか、絶妙な変化の味付けがほどこされているようだ。

 そして、全曲丁寧に練りこまれており、全体のアルバムの統一感、楽曲のバラエティーさ、そして完成度の高さから彼らの代表作といってよいだろうう。
 
 そんな彼らのアルバムだが、もしかすると冒頭の曲はタイトルは知らないが耳にした人はいるだろう。
 この冒頭のインスツルメンツ「SIRIUS」だが、スポーツイベントで何度か耳にした。特に1990年代アイスホッケー観戦にのめりこんでた時期があったが、ゲーム開始前の入場時とか試合のインターバルとか曲がかかっていたこともあった。アルバムとスポーツのイメージが相当かけ離れているとは思うのだが、なぜか不思議とこの曲、スポーツイベントでかかると絶妙に適合するのだった。
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