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ショスタコーヴィチ交響曲 第13番「バビ・ヤール」/NHK交響楽団 [ショスタコーヴィチ]

 第13番「バビ・ヤール」は、2019年に以来2度目。
 ナチスによるユダヤ人虐殺の件が作曲経緯に関わってることもあり、ヘヴィーな部分があって、気軽には聞けない曲ではあるのだが、貴重な機会であるのは間違いないので、先日聞きに行ってきた。

 プログラム前半はヨハン・シュトラウスIIのワルツと、ショスタコーヴィチの「舞台管弦楽のための組曲」というライトな音楽。後半の重たさを控えたせいもあったのろうが、この前半の軽やかさは音楽に乗れた感じだった。ショスタコーヴィチの短い管弦曲はフロントにアコーディオンとギターが置かれ、一回聞くと忘れられないメロディーが物憂げに、軽快に、表層的に流れ去ってゆく。この軽妙なサウンドもまたショスタコーヴィチらしい側面。

 そして後半は雰囲気も異なる男性合唱団とバスの独唱を加えた交響曲。
 特に第1楽章は重いのだが、印象的だったのは第2楽章と第5楽章。第2楽章「ユーモア」は第1楽章のムードから一転し、スケルツォ的。バス独唱と合唱の対話のような掛け合い、打楽器などのリズミックさも加わり、テンポも早めで、この交響曲の強いアクセント機能を感じられた。
 
 そして再び重いながれの第3~4楽章を経て終楽章の第5楽章「立身出世」に入ると、軽やかなフルートが不思議な空気感をもたらしてゆく。そこまでの重さを抱えてきた音楽が、抜けたような浮遊感を伴いながら進行してゆく。
 何か様々なことが起こり、そして過ぎ去ってゆく中で、重量さを失い、漂うってゆくような感じがある楽章なのだろうか。弦のピチカート、ヴァイオリンソロによる力の抜けたような穏やかな表情の旋律、そこに鐘の音やチェレスタの響きがまた不思議な広がりを生みながら、ゆっくりと消えてゆく。
 音が消えていった後、何とも言えない空気が自分の中に残った。そして終演後もしばしこの第5楽章の浮遊感ある不思議な空間が、妙に残り続けていた。

2024/2/4 NHKホール
指揮:井上道義 N響定期公演
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ショスタコーヴィチ/交響曲第8番 (FM放送にて) [ショスタコーヴィチ]

 ショスタコーヴィチの交響曲がFM放送であるということで、金曜日のNHK-FM「ベストオブクラシック」という番組聞いてみた。最近は聞き逃し配信とか、後から聞けるものも多く、後日聞いてもいいかとも考えたが、後でもいいやと考えると、ついつい聞くタイミングを失い、気が付いたら期限が過ぎてたとかもあるので、今回はNHKホールからの生放送の緊張感とともに、金曜日19時30分にラジオの前にスタンバイし聞いていた。

 この日の公演は休憩なしで、約1時間の交響曲のみ。
 ゆっくりめで始まりながら、中間部でぐっと音が厚みを増しながら起伏の多く、長い第1楽章。ピッコロなどの登場、テンポも出てくる第2楽章、そしてから弦楽器の前のめりに突っ込むような、尖った音をベースに進行してく第3楽章はスリリング。この曲のハイライト的な楽章だろうか。緊張感が高い中、ティンパニや金管楽器も加わり、終盤にはこの曲の頂点を形成する。そしてそのままの余波を次の楽章の冒頭につなげてゆくが、この4楽章は極めて重い流れがずっと続く。

 そして最後の第5楽章は終盤に管楽器のソロなど中心に次第に音が少なくなって、そして静かに消えてゆくように終わっていった。最後の5分間くらい、音が減衰してゆく時間、ここは今回非常に印象に残ったというのか、妙な静けさとか、空虚さなのか、全体の中のこの終わりかたには今まで感じたことのない感じを受け取った。
 
 ラジオなので、ついつい気になった部分スマホで調べようか、とかトイレ行こうかとか、何かと集中できにくい環境もあったが、まずまず約1時間、ほぼラジオの音だけで過ごした。しかし当然のこととはいえ、実際にホールで聞くのがいいなと、改めて思ったのだった。 


NHK-FM「ベストオブクラシック」2023/6/16
曲目:ショスタコーヴィチ/交響曲 第8番 指揮 : ジャナンドレア・ノセダ NHKホール
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ショスタコーヴィチ交響曲第7番/神奈川フィル [ショスタコーヴィチ]

 ここ1カ月間はコンサートの用事で外出は無かったが、何だかんだと外出が多かった。
 寒さで動けなかった時期が過ぎ、気温も上がったので、自然と外出モードになったのだが、最近は県内エリアを意識しながら行動することが増えてきた。

 気が付くと神奈川県に住んで随分長くなったが、振り返ってみるとこれまで県内のローカル感覚的な意識は薄かった。また近くなのでいつでもいける、という気持ちもあり、気が付くと、未だ行ったことのない有名な観光地や施設がかなりあるのだった。改めて身近な地域を後回しにしてしまったのだな、と感じ、それ以来行動や生活の意識に変化が生じつつある。広報をじっくり読んだり、区の施設やイベントみてきたり、県内の公園に出かけたり、観光地スポットに行ったなどの活動が増えてきた。先月はカップヌードルミュージアムとマリンタワーに初めて訪れ、なんというのか観光気分になってしまったが、時間にゆとりができたので今後も行ったことのない県内スポットに訪れてみようと思った。

 という状況の中、昨日は横浜みなとみらいホールに行ってきた。コンサートの場合、どうしても都内のホールの回数が多くなりがちで、自分の場合サントリーホールに行くことが多いのだが、慣れてはいるとはいえ、どこか県内のホールの場合と気分が少し違う感覚は以前からあった。都内ホールの場合はどうも「アウェイ」感に近い感じがあるのに対し、県内ホールの時は移動時間が若干短くなることもあって、微弱ながら「ホーム」的な感覚は以前からあった。これまで大して意識してなかったことだが、最近の行動をからめると、昨日の交通経路の中で以前より「ホーム」的感覚が意識的になった気もした。

 さて、昨日だが、ショスタコーヴィチ交響曲第7番、自分自身の記録を調べてみるとおよそ9年振りとなたった。この曲は歴史的背景が重要だが、とはいえ前回聞いた9年前と今の世界状況は大きく変化し、そうしたことが頭をよぎるものの、純粋に音楽それ自体として聞いてきた。

 非常に長い曲のため、この日は休憩なしの一曲のみ。大編成で特に第1楽章や第4楽章には金管楽器や打楽器がインパクトのある音、とりわけ第1楽章の音は厚みと凄みを感じた。第1楽章でのラヴェルのボレロ風展開部分は、各楽器の音がしっかりとられ、全体音への高まりへの移行も素晴らしかった。
 全体的に75分前後と長い曲で、特に第3~4楽章はアタッカで繋がってゆくため、この部分は30分を超える箇所もあったが、第3楽章のコラール部分、フィナーレのコーダの盛り上がりなどもあり、間延びすることなく全体的に手ごたえのある内容だった。重すぎず、しかしずしりとした手ごたえが残った、そんな感じの演奏だった。

 あいにく終日の雨となり、寄り道することなく帰路へと向かったが、途中で市内の観光雑誌を入手し、さてまだ行ってないとこ、次回はどこに行こうかなどと思案しながら帰宅についた。

2023/4/15 横浜みなとみらいホール 神奈川フィル・指揮:沼尻竜典
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ショスタコーヴィチ:交響曲第10番/日本フィル [ショスタコーヴィチ]

 これまで数年間にかけ、ラザレフ・日本フィルが取り上げてきているショスタコービッチ交響曲、今回はいよいよ10番。ショスタコービッチ交響曲の中でも構成力が高く、個人的にも大変重要な曲であり、期待感と共に聞きに行ってきた。そして聞き終えた後、事前の高い期待値を上回る素晴らしい演奏だった。

 この日は前半リムスキー=コルサコフの2曲。中でも初めて聞いた「ピアノ協奏曲」は15分程度と通常の協奏曲としては短いが、印象に残った。そのあとのアンコール曲も知らない曲だったがメロディアスな旋律がこれまた印象的。後で見てみるとグリンカ(バラキレフ編曲)「ひばり」という曲だった。

 そして後半はショスタコーヴィチ交響曲第10番。
 これまで長大な第1楽章がうまく聞けなかったのだが、今回初めてじっくりと聞くことができた。アップダウンが大きく、様々なトーンが出入りしてゆくので、これまで全体像が掴みにくかったのだが、今回の演奏では大きな流れというのか、太い根幹の底流がずっと維持され、音楽の進んでゆく流れに乗っかることができた。気が付くとラザレフの指揮する音楽の方向に身をゆだね、変遷する曲を追従していくことができた、そんな感じだった。

 第2楽章の凄みのあるスピード感や第4楽章の後半からエンディングのまくしたてるような、エネルギッシュな展開。これまで3回くらい聞いた曲だが、今回じっくり聞けたこともあり、今まで気が付かなかったも細部のニュアンスの発見が随所にあった。そして50分を超える曲であるが、集中力のある演奏が最後まで途切れることなく持続し、曲全体が弛緩することなく進み、そうした演奏に対し聞く側の自分自身も久しぶりに集中力が途切れることなく、音楽に埋没した、そんな時間を過ごせた。

 最近80年台洋楽などよく聞いてたが、久しぶりに手ごたえのある大規模編成の交響曲が聞け、やはりこうしてホールで聞くのは全く違うなと実感。それにしても、このショスタコーヴィチ交響曲第10番を聞くと感じるのだが、ロックなど聞いてる人が聞いても違和感が少ないのでは、と思う。スピード感、打楽器のインパクトなど、自分自身もこの曲を聞くとロック的な感覚が起動されるように思うのだが。

指揮:アレクサンドル・ラザレフ/ 日本フィルハーモニー交響楽団
2021/10/23日本フィル定期演奏会 サントリーホール


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ショスタコーヴィチ : 交響曲 第6番/東京交響楽団 [ショスタコーヴィチ]

 ショスタコーヴィチ交響曲の中でも取り上げられる機会の少ない曲であり、今回が5年ぶり2度目のことになる。5年前に初めて聞いたとき、全体の統一感がよくわからなく、各楽章単位で聞いたものの不可解さは残った。今回も数日前CDで聞き直し、そういえばこういう構成だったと思い出したが、さてどういう風に聞こえてくるのだろうか。

 この日は天気も良く、早めにホールに到着したこともあって、サントリーホール周辺の桜をゆっくり眺めながら歩いてみた。こうして、ゆったりと、じっくり見ながら歩いたのは久しぶりだった。

 前半はベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第4番」で開始。小編成、ピアノは丁寧な音で演奏していた印象。そしてこの日のメイン後半曲。
 
 この第1楽章の事前の印象はやや重い感じだったが、冒頭の弦楽器の低音の大きな響きにひきつけられる。管楽器のソロのひっそり感や中盤のホルンの音の解放感もあり印象はだいぶ違ってきた。手持ちのCD(マリス・ヤンソンス指揮の全集)では第1楽章が15分くらいだっただが、この日のテンポはそれに比べるとゆったりめで、それが細部の表情をしっかり描き込んでいったのだろうか、この楽章はじっくりと聞き込めた。

 そしてムードががらりと変わる第2楽章へ。前回特に感じたのは長い第1楽章とその後のスピードアップする第2~3楽章の変化の溝の大きさだったが、この日第2楽章に流れ込んだ時点で、違和感が感じられなかった。ギャップは確かに大きいのだが、何となく流れがあったように感じられた。それはここ数年間に聞いたショスタコービッチの音楽の蓄積なのか、それともこの日の素晴らしい演奏だったのか、たぶんその両方だったのだろう。

 そして第3楽章、ロッシーニの「ウィリアム・テル」的な音から、活発に動き回る展開、まさにこの作曲家独特の軽快さ溢れる楽章であった。ラストのドタバタ感も含めたエンディングのリズムとスピード感には心躍る瞬間があった。

 前回のよくわからなかった印象から、この日聞いた演奏で、かなり曲に接近できたのだろうか、とにかくこの日の演奏は最後まで充実した時間を過ごせ、たいへん満足であった。

2021/3/27 東京交響楽団 指揮:井上道義 / サントリーホール定期演奏会 
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ショスタコーヴィチ(バルシャイ編)室内交響曲/日本フィル [ショスタコーヴィチ]

 依然として海外からの入国制限などが続いてるため、当初予定の指揮者・演奏曲が変更されることがあり、この日のコンサートも変更があった。当初予定のR.シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」から、変更後はショスタコーヴィチの曲。知らない曲である。しかもショスタコーヴィチの。ということで個人的にはサプライズな変更となった。

 早速ネットなどで調べてみると弦楽四重奏曲第8番の編曲らしい。8番といえば、ショスタコーヴィチの中でも代表的な曲のひとつといってよいだろう。15曲の弦楽四重奏曲の中でも際立つインパクトを携えた曲なので、これがどう編曲されたのか興味深く聞いてきた。

 編成は弦楽5部、聞き始めるとコントラバスが入ってることもあり、底辺の支えがある感じ。弦楽四重奏曲では、4名の濃密な空間から放たれた音は緊迫感があるのだが、合奏曲になるとこのあたりが少し緩和されるというのか、広がり感があった。とはいえ曲は同じような流れになるので、暗さや重みもあり、ソロパートも時折入りこんだが、弦楽合奏という形式を用いることで、厚みや深みも聞くことができた気がした。

 このあとR.シュトラウスのオーボエ協奏曲で前半終え、後半はベートーヴェン交響曲第6番。どうもこの曲、今まで何度か聞いてきたが、柔らかな流れで途中集中力が脱落しがちなことがこれまでも多く発生し、この日もなんとなく聞き始めた。ところが、曲が始まると音楽に引き込まれてゆく。 

 ここ一か月間以上、仕事で長期間の問題対応にあたり、過去に経験したことのない事象にかなりエネルギーを消耗していた。特に数日前は時間がない中、急ぎの判断も必要で、とりあえず長期に渡った問題をひとまず収束できたが、結局ミスの対応カバーというプラス方向に向かわない業務だったので、疲弊感も大きかった。数日間は仕事しながら、土曜日にコンサートで音楽聞ける楽しみを支えにやってきてたこともあり、そういう状態でこの日ホールで音楽を聞いていた。

 音がくっきりと明瞭な響きをもって現れ始め、そこに自然とひきつけられるゆく。指揮者のはっきりとした動き、そこから弦楽器の音も明確にこちらに届いてくる。気が付くと、音楽の流れに自然と寄りかかれている自分があり、ゆったりしながらも音楽の新鮮さが感じられる時間帯があった。なんとなく聞き始めながら、ぐっと引き込まれてゆくこと、まさに音楽をホールで聞くという体験の意味を改めて実感させられたようだった。

 それにしても、この日の指揮者カーチュン・ウォンは初めて聞いたのだが、弦楽器からの音の引き出しが丁寧で、曲の流れも素晴らしかった。今年12月にも日本フィルの演奏会が予定されていて、曲目みると、ちょうど1年前に中止になったマーラー第5番で、これは非常に楽しみである。


指揮:カーチュン・ウォン/ 日本フィルハーモニー交響楽団
2021/3/6日本フィル定期演奏会 サントリーホール
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ショスタコーヴィチ・チェロ協奏曲第2番/N響定期公演 クラシック音楽館 [ショスタコーヴィチ]

 毎週日曜日の夜9時にNHKでクラシック音楽館の放映があるが、ここ最近この番組をたびたび見ている。やはりコンサートの中止延期の影響が大きいだろう。これまでは、土日コンサートを聞きにいくことが中心だったので、日曜日の夜のこの時間帯は、あまり見てなく、時々見ることはあっても、番組最初から最後まで見続けることは多くなかった。

 3月の放送で、パブロ・エラス・カサドという指揮者のチャイコフスキー交響曲第1番を見たが、過去に一度だけ聞いたがピンとこなかった曲だったこともあり、それほど期待してなかったのだが、これが非常によかった。ちょうどコンサートに行けなくなって、音楽も聞く気が低下してたこともあったが、こんな曲だったのかという驚きとともに、印象に残った。

 そして先日はベネズエラ出身のラファエル・パヤーレという指揮者の放送を見た。この日は、「オール・ショスタコーヴィチ・プラグラム」ということで、本来は行くつもりだったのだが、既に土日にコンサート予定で埋まっており、やむなく断念した経緯があったので、2時間じっくり聞いた。

 この日の前半はチェロ協奏曲第2番。いままでCDで聞いただけで、まだコンサートで聞いたことがなかった曲である。チェロはアリサ・ワイラースタインという人で、今回の放送では曲に対するインタビューもあり、曲に対する思いや解釈が語られていた。そうした背景を知ることで導入部分になったこともあったが、チェロの深い響きをもって、最後まで集中力のある演奏だったと思う。曲中チェロはほとんど休みなく弾き続けるし、特に第1楽章のトーンが暗く重ためであり難しい曲であるが、曲を正面から向き合わさせてくれるような、じっくりと、深い音色は十分引き込ませるだけの説得力を感じられた。
 長い第1楽章が過ぎると、ようやく動きのある第2楽章、ここはショスタコーヴィッチらしさがよく出ている。第3楽章もチェロが弾き続け、浮遊感のある光景も感じられる。この曲のラストは、微妙な感じの終わり方だが、やはり晩年の作品ということもあり、ショスタコーヴィッチらしいともいえるだろう。

 後半は交響曲第5番。久しぶりに聞いたが、テンポはやや早めに思われた。聞いているうちに、いままで聞いた演奏とはどうも違う感触があったが、次第にこれはこれでありか、とも思えてきた。全曲聞き終わってみると、少しテンポを変えたことで、また違った側面を垣間見せた気もした。

 本日もまた放送あるので、また、見る予定。

NHK Eテレ「クラシック音楽館」2020/5/17放送 N響第1933回定期公演
指揮:ラファエル・パヤーレ、チェロ:アリサ・ワイラースタイン

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「ショスタコーヴィチの映画音楽」TV らららクラシック見て [ショスタコーヴィチ]

 一昨日NHK Eテレ番組「らららクラシック」を見た。この番組時々見てはいたが、今回はショスタコーヴィチの、しかも映画音楽という、あまり取り上げられない領域なので、すかさず見てみた。

 これまでのショスタコーヴィチ作品への取り組みは、交響曲と弦楽四重奏曲がメインで、このあたりはほぼ聞き終えたから、そろそろ他の作品群も聞いてみようかと思ってはいた。協奏曲、室内楽、オペラあたりを考えていたが、それ以外のジャンルも結構多い。その中に映画音楽があり、これが以外と多いことには気づいていたが、いままでほとんど聞いたことはなかった。

 音楽のみならず、映画作品自体も見たことがなかったわけだが、今回のテレビ番組でその映画映像の一部が見れたことが大きな収穫だった。最初の映画音楽作品が「新バビロン」というのは、こういう感じだったのかと。そして番組中にも言及があったが、ショスタコーヴィチのこのジャンルへの取り組みが、コンスタントに長い期間にわたって続いていることを知った。改めてこのあたり調べてみると、確かに若いころから晩年まで長期間コンスタントに継続している。

 テレビ番組見ながら、20代後半から30代前半にかけ、一時ロシア映画をよく見てた時期があったことを思い出した。タルコフスキー、ソクーロフ、パラジャーノ、カネフスキー・・・。中でも当時大きな影響を受けた作品として、セルゲイ・パラジャーノフ「スラム砦の伝説」、カネフスキー「ひとりで生きる」は強烈なインパクトがあった。そんなことも下地にあったのか、クラシック音楽を聞くうちに、ショスタコーヴィチの作品に惹かれてゆくのは、自然な流れだったかのしれない。

2020/5/1 NHK Eテレ「らららクラシック」/ショスタコーヴィチの映画音楽

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ショスタコーヴィチ/交響曲第14番/神奈川フィル [ショスタコーヴィチ]

 この2週間、連日仕事のスケジュールが立て込みさすがに疲れた。
 会議、社内勉強会講師、関西方面出張、飲み会、外出、また長時間の会議参加・・・。普段は基本的にデスクワーク中心なので、こういう日程になると昼食は慌ただしく、飲み会もあり、自分のペースで動けなかった日が続いた。また、社会的にコロナウイルス問題があって、慌ただしい時期だった。
 こんな時期であるが、どういうわけか2月にはコンサート関係を7回も予定に入れてしまった。先週も土日連日、そして昨日もコンサート行ってきて、ようやく本日は予定のない休み。慌ただしさの中次々と過ぎてゆくので、十分消化しきってないが、昨日はようやく聞けるショスタコーヴィチの交響曲14番ということで、少し書いておこう。

 ここまで主要なショスタコーヴィチ交響曲はだいたい聞いたが、演奏会に取り上げられにくい曲は聞く機会が少なく、粘り強く待っていたのだが、ついに今回14番を初めて聞く機会となった。事前に恒例の予習を行ったのだが、音楽も通常のような重さと軽さ、爆音部分やリズミックな展開などのらしさが影を潜め、歌の比重が大きい音楽に思えた。歌詞もわからないので、印象形成は難しく、とにかく聞きに行ってきた。

 この日の組み合わせは、前半ビゼー=シチェドリン「カルメン組曲」という曲。パンフレットの解説読むと、特殊編成のようで、ステージは打楽器奏者と中央に弦楽奏者という編成。管楽器がなく、これはどういう音になるのかと思ったが、「カルメン」の音楽エッセンスは十分感じられる内容で、打楽器と弦楽器のバランスも的確で、非常に面白かった。

 この特殊編成だが、後半の演奏もほぼ踏襲された構成となっていた。やはり管楽器・金管楽器群はなく、打楽器と弦楽器に2人の歌い手、ただし、各パートの奏者数は少なく、打楽器と弦楽5部で25名くらいだったと思う。 中央には字幕が付けられた。

 全体的に聞いてゆくと、やはり室内楽的な要素を強く感じられた。そこにソプラノとバスの歌が11曲続くのだが、これらの歌を聞いていると、まるでオペラの作品を聞いてるかのように思えてきた。特に第3楽章「ローレライ」はほぼオペラのような音楽と歌で展開していた。打楽器系はそれほど多く登場しないが、第5楽章は特徴的なシロフォンによる音型が登場し、このあたりはショスタコーヴィチらしさを感じさせられた。
 
 最後まで聞いた後、何か交響曲を聞いた実感はなく、どういう言葉で形容すればよいのかわからないが、室内楽オペラのような音楽に思えた。CDでは全く見えなかったが、やはり実際に聞くと、手ごたえや感触というものは確かにあった。とはいえ、形式的にどこへ分類しようとも、これはショスタコーヴィチの作品であることは体感できた気がする。

 さて、「ショスタコーヴィチ交響曲全曲聞こうプロジェクト」(今更ながらのネーミングだが)もだいぶ進捗し、残った曲はあと2つとなった。残された交響曲は第2番と第3番であるが、この2つほとんど演奏会に取り上げられていない。さて、この2曲、一体いつ聞けるだろうか。根気強く、気長に待つばかりである。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 指揮者:井上道義
2020/2/8 横浜みなとみらいホール
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ショスタコーヴィチ:交響曲第13番「バビ・ヤール」/読売日本交響楽団 [ショスタコーヴィチ]

 先週は、ショスタコーヴィチ交響曲を2曲、連続で聞いてきた。
 日曜日は交響曲11番、そして3日前は交響曲13番。なかでも13番は、演奏機会の少ない曲で、彼是5年くらいずっと機会を探してきたが、今回ようやく初めて聞けることになった。

 とはいえこの曲、なかなか一筋縄ではゆかない。1941年にバビ・ヤール 渓谷で起こったユダヤ人虐殺事件、そこから詩人が書いた詩よりインスパイアされ作曲したこと。そして編成はロシア語によるバス独唱と男性合唱が加わり、全5楽章かなり歌の比重が高いこと。CDで予習はしてみたが、とにかく実際に聞かないとわからないという感じだった。

 この日の前半はハイドンの交響曲。ハイドンとショスタコーヴィチという組み合わせは今までなかった気がするが、ユーモアやウイットということからの共通項はあったかも。

 そして後半。オーケストラは大編成、バスの独唱は指揮者の横で、合唱は最後列に配し、ステージはかなりの人数。歌詞は字幕を使った。第1楽章は全体的にヘヴィーな感じで進行。この「バビ・ヤール」のテーマ性から、遅く・重い感じで進んでゆくが、第2楽章に入るとムードは全く変わる。「ユーモア」とタイトルされた通り、バスの独唱も第1楽章とは違ったキャラクターで歌う。リズミックな動きとライトで風刺的に進み、第1楽章とこの2楽章の落差は大きすぎるのだが、まさにこれはショスタコーヴィチらしい展開でもあろう。

第3~4楽章は低音が霧のように、低く漂う。コントラバスやチェロの低音が徐々に広がってゆくよう。そして最終楽章はファゴットソロや弦のピチカートなど、これまた軽めの流れが漂う。方向性の見えないまま進んでゆき、盛り上がりもなく、ラストには音が減衰して終わる。楽章の強弱が大きすぎ、全体感の流れが掴み難く、統一感も見えないのだが、そんなラストにチェレスタと鐘の音が響き、閉じてゆくと、何か不思議とこの交響曲が閉じていった感じを受けた。混沌とした内容を収束させてゆくようなラストの音だった。

 難しい曲とは思うが、やはり実際に聞くと、感じるものもあり、ショスタコーヴィチらしさも十分感じられた曲だった。

 さて、これを書いてる現在、雨風が非常に強くなってきた。現時点でもすごい状態だが、台風はこの後通過すると一体どうなるのだろう。

 今回の台風は社会生活に大きな影響を与え、鉄道運休、店舗休業、またラグビーワールドカップの試合も中止になったり、各種イベントの中止、という状況になった。個人的にも、本日ようやく観れると期待してたチャイコフスキーの「エウゲニ・オネーギン」を観に行く予定だったが、中止。この天候ではやむを得ないと思う。

 
読売日本交響楽団 指揮=ユーリ・テミルカーノフ
2019/10/ 9  サントリーホール


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